うたたね詩人

僕は詩をうたって、町から町へと旅をする。

僕が歩いた後ろには、見えないタネが蒔かれていく。
僕が町を通り抜けたら、最初の雨がふった後、素敵なことが訪れる。 

蒔かれたタネからきれいな芽が出て、
つる草のようにしなやかに、
グングングングン伸びていく。

町は、大きな大きなまゆになる。

中はとっても暖かい。
しかもとってもふわふわで、
まるで泡立てたホイップクリーム。

前の車が遅いと文句ばかりのおじさんも、
子供が泣いてイライラしているお母さんも、
生き甲斐がないと空ろな目のおじいさんも、
自分ばかりが損な気がするおばあさんも、
誰かに大切にされたいと感じている子供も、

やわらかく、見えないクリームは包みこむ。

そのうち、みんなうたいだす。
大きな声で、小さな声で、かわいい声で、
ドスの効いただみ声で。

心の中でうたう人。
みんなの前でうたう人。
鼻うたの方が好きな人。
好きなようにうたっていいんだ。
心のままに、出てくるままに。

まゆからミシミシ音がして、ふるえ出すのがその合図。

パカッと割れて、ふわふわのクリームながれ出し、
うたごえのハーモニー、雨上がりの空に消えていく。 

何ごともなかったような顔をしている

怒っていたおじさんも、
イライラしていたお母さんも、
空ろな目をしていたおじいさんも
損してばかりだと思っていたおばあさんも、
誰も自分を見てくれず、寂しかった子供も、

心の中に流れ続ける自分だけの大切な詩。
響き続ける本当の自分。

そう僕は、詩のたね『うたたね』を蒔くのが仕事。
今日も、明日も、あさっても。
詩をうたって旅を続ける。
それが、僕の幸せだから。

 絵 文  よっちゃん

からだ部

からだ部とは、「からだを感じる」をコンセプトに、部員たちがモノをつくり発信する部活道である。 主な活動は、 1)メディア 2)ワークショップ 3)企画 の三つになります。

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