【赤の少女と白い虎】 19. 幻想 (作・あだちあきこ)


「娘よ」 

その声に話しかけられた。


「はい」 

 「そなたはなぜ、ここにいる」 

 「・・・わかりません」 

その声の主は、他の声とは少し違う感じがして思わず声が震えた。


「わからぬまま、門は開けまい。 何をしたのか話してみよ」

 「・・・赤龍と青龍を内に取り込み、世界の礎になる術を発動させました」 

空間は再び、非難の声にあふれかえった。

「なんだそれは」 「やはりバカだ」 「いや、人の愚かしさは変わらぬものだ」 「どうするのだ、このままでは」 


 「・・・静まれ」

あの声が響き、また静寂の空間が広がった。


「娘よ」

 「はい」 

 「その方法では龍は呼べぬ」 

 「・・・え?」 

 「そもそも龍などおらぬ」 

 「でも、あの書には龍が・・・」 2頭、と言いかけて、そこで止まった。 


空間から流れ込んでくる、失望のエネルギーが真実を物語っているのがわかった。

嘘ではない。龍は本当にいないのだ。 わたしは悟った。


「じゃあ、あの書は・・・」 

 「・・・あの書に意味はない。

お前はあの書に  どんな意味をつけて、  何を願ったのだ?」


〜つづく

からだ部

からだ部とは、「からだを感じる」をコンセプトに、部員たちがモノをつくり発信する部活道である。 主な活動は、 1)メディア 2)ワークショップ 3)企画 の三つになります。

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