映画のある暮らしvol.10「2016年の映画RANKING」後編

3位の「ROOM」は実話を基にしたお話で、
オーストリアでエリーザベートという女性が実の父によって
24年もの間、監禁されながら性的虐待を受けた末に7人の子供を出産していた、という
おそろしい事件があったそうです。

この映画のスゴイところは、
「監禁部屋での生活や脱走の緊迫感」と「外の世界での被害者・家族の 葛藤」のどちらかに焦点を絞りがちだけど、バランス良く両方を描いているということ。
普通はどちらかにフォーカスを当てがちになりますけどね。
監禁の重々しいシーンばかりなのかと思ったら意外な方向に話が進んでいくという。 

そして、「監禁されていた時間を取り戻したい」気持ちとか、
「初めての外の世界に興味を持っている」 気持ちとか、
「どう対処したらいいか分からない」気持ちとか...

あと興味本位でずけずけしくプライベ ートに入り込んでくる人もいたりして、
そういういろんな人の気持ちがすごく伝わってきて、
その辺は 言葉では表せない絶妙な演技で魅せてくる。


脚本も良いけどキャストが特に良いです。
主演(監禁されてた女の子)の役は、
「ショート・ターム」で一躍有名になったブリー・ラーソン。 

それに加えて子役のジェイコブ・トレンブレイ君の”初めて外の世界を知る”演技が

本っっっ当に素晴 らしい。

「ルーム」で生まれ育った何も知らない男の子、にしか見えないのです。
ブリー・ラーソンはどこにでもいそうな感じで良いんですよね...
実際めちゃキレイなんだろうけど。
監禁シーンはすっぴんだそうです。
最後のシーンが切なくてね...いろいろあったけどルームがあなたと私が生きた道なのね...と。

涙腺崩壊確実です。ぜひ、「外の世界」を初めて味わう体験を!!!



そして2位は「この世界の片隅に」。

これもものすごく泣いた映画。 なぜあんなにも泣けるんですかね、ハンカチ必須です。

ものすごい勢いでヒットしてますね。

アニメ映画と言えば「君の名は。」もヒットしたけど、
テレビとか雑誌とかに頼らずにあそこまで話題に なる映画ってそうそうないかも。 

とっても簡単にいうと、呉くれ)で暮らす19歳の女の子のお話です。 

どこが良いかなんてもはや説明不要かもしれませんが、
強いて言うなら「何気なくも素晴らしい、
かつ 「ての日本の日常」をきちんと描いているところだと思います。

祖父母の代になると、わたしが感じるよりも深く
「そう、こういう時代だったんだよ」と感じるんだろうな。 

この映画には、誰にでも共感できるところがあると思います。

きっとすずさんはみんなの中にいる。 


わたしの場合は、

最初の方のシーンで「お箸を持つ位置が上の方であるほど遠いところにお嫁に行く」 という話が出てきて、

ああああああそんな話わたしも小さいころしたなあ..とフラッシュバック(その時 はたしか手作りの餃子を食べていたことまで思い出した)。

というように、基本的には懐かしんだり笑えたりするシーンが多い。

で、そういう「70年ほど前のなんてことのない日常」を描きつつ、

その延長線上に戦争があったんだ、 ということを伝えている。

というところがスゴポイントかも。

というか、まだ1回しか観ていないので全然 語れるほどでもないんですけど、

奥深い作品だと思います。もっともっと深読みできるはず。 


「戦争映画でしょ?興味ないんだよな~」と言う人ほど観てほしい。

きっと絶対何か感じるものがあるはずです。

だって日本人だから!

すずさん、好きだ。



はい、一気にテンションを変えて、

ついにご紹介、1位は「シング・ストリート」!!!

観る前から、こんなの絶対面白くないわけがないと思っていました。

「ONCE ダブリンの街角で」「はじまりのうた」のジョン・カーニー監督最新作。 

彼は音楽の力を信じていて、この映画にもそれがしっかり現れています。
80年代のダブリンを舞台にした、甘酸っぱい恋&うら若い友情の青春映画です。 


お話は簡単に言うと「一目ぼれした男の子が女の子の気を引こうとバンドを組む」っていう、ありがちすぎて誰もやらねーよ!てなもの。

なんだけど!

キャラの個性と音楽がすばらしいためにそれはもうすばらしい。


まず登場人物の絶妙さ。

主人公のコナーが地味で可愛いくせにかっこいい。

痩せてるわけでもなく筋肉質でもなく高身長でもない、

どこにでもいる田舎のフツーの男の子。ウブ。

この子が恋に校則にと色々奮闘するわけなんだけど、演奏してるときとか女の子(名前はラフィーナ) に見惚れているときとかね、たまに超セクシーな顔しててたまらない。 


あと、コナーに話しかけてバンドのマネージャー兼カメラマンをすることになる、

「痩せててぼろぼろの 服を着ているくせに自信満々なビッグマウスを叩く、くるくるクセ毛で歯の矯正をしていてぼ一つとした 顔」(すごい説明だけど可愛いんだこれが)のダーレンの存在も良い。 

服がぼろぼろだからきっとお家が貧乏なんだろなーとか、
それでもあの調子で色々とうまくやってき たんだろなーとか考えてしまう。 

って、一人ひとり説明している余裕なんてないのだけど(笑)、

あと一人特筆するとしたらコナーの兄、 ブレイダン。

引きこもりでロックばかり聞いているんだけど、ロックに対する情熱がハンパなく、コナーにPVを見せ ながらロックの心髄を力説する。

「Rock'n Rollll is arisk, You risk being ridiculed. (ロックンロールは リスクだ。嘲笑されるリスクを負え)」とか、「他人の曲で女を口説くな、自分の曲で口説け」とか、

コナーを影ながら(?)応援しているさまは、

さながら「グッド・ウィル・ハンティング」のベン・アフレックのような立ち位置。

「いつかきっとお前ならやれる」と信じてるんですよね。

で、この想いが後半にドッと活きてくるんです~~~


調べると、コナーって服装とか髪型も当時の流行りを真似してるみたいです。
コナーの前髪が白くなってるシーンがあるんですけど、あれはどうやら Kajagoogooというバンドのマネなのではないでしょうかね。

結構影響されやすいんですよね、コナーって。
というか年頃の男の子なんて皆そうですよね。
イケてると思ったらすぐに真似をして女の子の気を引こうとする。
可愛い!愛らしいぞ、男子!!

でも結局はブレイダンが言うように他人の真似だけではダメで、

自分の力で動かしていかなきゃなら んのですよね。恋も未来も自分も。

でもバンドしててもラフィーナのこと好きなのがコナーだけっていうのがさっぱりしてて良いです。


そしてサントラの凄さですよ...

映画って、音楽のセンスが良いと何倍にもかっこよく見えます。
(そういう傾向がやってきたのは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014)」や「オデッセイ(2015)」 の選曲センスからのような気が。どちらも70年代ヒット曲の使い方が素晴らしいです。)

この映画には80年代の曲が使われてて、今聴いても本当に色あせないですね。
カッコイイ!ミーハーだけどこの映画のおかげでしばらく80年代ブームがきました。


特にタイトルが出る瞬間なんて、

もうこれだけでこの映画の価値が分かるだろと言わんばかりの。

Radio Head の「Stay Clean」が流れて、ババーン!「Sing Street」!って。 


で、いちばん盛り上がるのが学園祭のシーン。

コナーの恋心とか学校への不満とか、

先ほど言ったような兄の気持ちとかっていうもろもろのパッションが

「Drive it like you stole it」で一気に爆発します。

もうもう、良すぎて鳥肌。兄が出てきて泣く(全然泣くシーンではないんですけど)。


で、この映画って、バッサリするところはバッサリしてるとこも潔くて。 

ダーレン「カッコがつくから黒人入れようぜ」って言ってたらあっさり見つかる、とか、
音楽好きのエイモンがうまいぐあいに楽器を豊富に持っていたり練習場所を提供してくれる、とか。 


それこそラストのシーンも、言ってしまうと、笑

と、まあ、突っ込みも入れたくなる気持ちも分かるんですが、

私としてはそういうのも全部ひっくるめて 好き。

奇跡のような偶然が重なってできあがるものが人生だからね(と、別にかっこつけているわけ ではないけどこちらもそう都合よく解釈することにしている)。


その最後のシーンでもブレイダンにきゅんきゅんする。

ホンットこんな兄欲しい。大好き!!!

きっとみんなうまくいくよ..と泣きながら応援したくなります。青春最高。 
わたしめっちゃ兄好きやな。

そんなわけで、今年も良い映画とたくさん出会いたいと思います。


読んでくれてありかどうございます!めちゃ長くなってしまった。


また半月後に!!!

【一人映画部】 若林理恵(Waka)


からだ部

からだ部とは、「からだを感じる」をコンセプトに、部員たちがモノをつくり発信する部活道である。 主な活動は、 1)メディア 2)ワークショップ 3)企画 の三つになります。

0コメント

  • 1000 / 1000