風虫の唄 その4(作 鈴音彩子)

ひとりもの かたり部5話目でございます。

今回はシリーズです。その1 ~ その7 まであります。

***

『珈琲』


その男は

珈琲を淹れている。

コポコポコポ・・・・・

耳を澄まし、

抽出される粉と液体と時間を見守りながら

自分の為に珈琲を淹れている。


時々、その男は女に好かれる。

が、関係は必ず長続きしない。

ついこの間も女が風虫の存在に気づき、最初は色っぽいと好んだ。

やがてその男を独占できないと分かり、怒り、離れた。

男は追わないし、追えなかった。

風虫の存在は変わらないからだ。


コポコポコポ・・・・・

存在とは何ぞや、関係とは何ぞや、

自問自答しながらカップへ注ぐ。


風虫ごと愛してくれる人はしばらく現れそうもない。


そもそも、自分は風虫を愛しているだろうか。

珈琲はひどく熱くそして苦い。

(つづきはまたらいしゅう)


ひとりもの かたり部 鈴音彩子

「風虫の唄‐その4 珈琲」2018.7

からだ部

からだ部とは、「からだを感じる」をコンセプトに、部員たちがモノをつくり発信する部活道である。 主な活動は、 1)メディア 2)ワークショップ 3)企画 の三つになります。

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