風虫の唄 その3(作 鈴音彩子)


ひとりもの かたり部5話目でございます。

今回はシリーズです。その1 ~ その7 まであります。

***

『スター』


その男はギターを弾く少年にある日出会った。

「うたってよ」

と誘われ、歌をうたい始めた。

嘘のない言葉は多くの人を立ち止まらせ、

毎夜、毎夜、広場は

人々が音楽と言葉に酔いしれる空間となった。

やがて

「スターにならないかい?」

とスカウトがやってきた。

その男は興味がないと断ったが、ギターを弾く少年はキラキラと目を輝かせた。

「すべては風まかせさ」二人は話し、別々の道を進んだ。

広場へ人が集まることはなくなり、音楽によって心扉を開かれた人々は残念がった。

ギターを弾く少年は・・・スターにはなれなかった。

時間が経ち、少年は年齢を重ねた。

今は一人でギターを奏でている、音楽と正面から向かい合いながら。

彼にとってのスターは、少年の時に出会ったその男。

いつかまた会いたいと切望している。

夜空に輝く星は、とても遠くて近い。



(つづきはまたらいしゅう)

ひとりもの かたり部 鈴音彩子

「風虫の唄‐その3 スター」2018.7

からだ部

からだ部とは、「からだを感じる」をコンセプトに、部員たちがモノをつくり発信する部活道である。 主な活動は、 1)メディア 2)ワークショップ 3)企画 の三つになります。

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