ポスト vol.5 (坂尾菜里)


 近付いてみるとそれは猫の死骸だった。白い猫で腹部が赤黒くなっている。

 それが猫であると認識した瞬間、私は目を離した。遠くから形の分からぬ謎の物体Aとして見ていたときは、あんなにまじまじと見ていたのに、である。

 私は夕方4時のスーパーへ向かう。スーパーの出入口からはカサカサと音を立てて女性が出てくる。女性9割、男性1割。

 今日はサンマの特売日であった。発泡スチロールの箱に寝かせられたサンマを銀色のトングで掴む。去年より少し痩せ気味が多い。青いビニール袋へ3匹。袋を縛って二重にする。それから、牛乳、豆腐、ネギ、マーガリン、食パン、ハム、キッチンペーパー、夜用ナプキンをカートに入れる。財布の中身は会計ギリギリ。

「あ、袋いらないです」

 丸めたくしゃくしゃのビニール袋へ詰める。青い袋の中の赤黒い液体。

 カサカサ音を立ててスーパーを出る。30分前に通った道を歩く。交差点。右側に猫。車の中の人と目が合う。彼も猫をちらり。

 青。カサカサ言わして4時30分の街を歩く。青い袋の中のサンマ。横たわる猫。歩く私。

からだ部

からだ部とは、「からだを感じる」をコンセプトに、部員たちがモノをつくり発信する部活道である。 主な活動は、 1)メディア 2)ワークショップ 3)企画 の三つになります。

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