ポスト vol.4 (坂尾菜里)

 

 暴力的な青だった。水温はウェットスーツを通じて私の肌を刺激する。

 目の前に広がるブルースクリーンに生物の姿はない。



 ――カンカン

 後ろからボンベを硬い物で叩く音が聞こえて振り返ると、そこには、オレンジ、薄ピンク、緑のサンゴ礁。そして名前も知らない魚が何となしに泳いでいた。

 乾いた空気を吸って、吐く。時々脚で水中を蹴る。泡のはじける音。どこからか聞こえる唄う声。差し込む光によってここが地上ではないことを認識する。右目の端でどこまでも続いているような青を捉える。

 あそこには誰もいないし、どこに繋がっているわけでもない。

 残圧計が80を切った。ハンドシグナルでガイドに伝える。

 モーター音。船が近づいてきた。

 少しずつ浮上。泡の音が耳をくすぐる。安全停止。

 私はまた目の前の青を見た。光が揺らめいている。くすむその青の先。

からだ部

からだ部とは、「からだを感じる」をコンセプトに、部員たちがモノをつくり発信する部活道である。 主な活動は、 1)メディア 2)ワークショップ 3)企画 の三つになります。

0コメント

  • 1000 / 1000