新しい味覚にチャレンジすることが創作につながる 【デパーゼ vol.28】


「どう?」
 


その日の夕食後、

梅酒を飲んでいる文絵に、

『りんご』を朗読した。 


「とりあえず。」
 


と、文絵は口にした。 


「梅酒に合わない、物語ね。」
 


確かに、そうだと思う。
 

文絵が毎晩梅酒を飲むことを考慮に入れて今度は物語を作ろう。

そんなことを思った。 


「じゃ、何と合うかな?」 

「知らない。でも、りんごのスープを飲んでいるみたいな、印象ね。」 

「りんごのスープに合うものって思いつかないなぁ。」 

「だいたい、りんごのスープなんて、ないけどね。」 

「じゃあ、今度作ってみるよ。」 

「本気?」 

「もちろん。」 

「りんごをとろとろにシェイクして、具に、鶏肉とパクチーを入れようか。」 

「やめて、全く想像がつかない。」

「新しい味覚にチャレンジすることが創作に繋がると思う。」 

「はいはい。だけど、甘いものに甘いものじゃ、トゥーマッチだからやめてね。私、いっつも梅酒飲んでいるんだから。」

「わかったよ。」
 


僕は流しに行き食器を洗うことにした。 


「まぁ、でも。」 

「うん。」 

「あなたらしいと思うわ。」
 


文絵はそう言うと、シンクにグラスを置いた。 


「ねぇ、昨日の物語は、もう、どこかに持って行った?」 

「瓶に詰めて、港の海に投げたわ。」
 


文絵は答えて寝室に行った。 


『運命の二人』が海の上をぷかぷかと浮かんでいるのを想像した。   



作 青剣

絵 ヤマネコトリコ


からだ部

からだ部とは、「からだを感じる」をコンセプトに、部員たちがモノをつくり発信する部活道である。 主な活動は、 1)メディア 2)ワークショップ 3)企画 の三つになります。

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