僕は夢でよく空を飛ぶ。 【デパーゼ vol.25】


その日の午後、空飛ぶ夢を見た。

 


僕は夢でよく空を飛ぶ。
 

気づくと飛んでいる、そんな具合だ。
 


うまく飛べるときとそうでないときがある。
 


どうしたらうまく飛べるのかはよくわからない。
 


たぶん、気持ちの持ちようではないかと思う。

 


ああ、今日は飛べるな。

そう思うとぐんぐんと上がってゆく。

しかし、飛べるかなぁという不安が生まれると飛んでいる最中に落ちてしまう。


夢で飛ぶために必要なエンジンは気の持ちようなのだろう。

 

その日見た夢で、僕は今までで一番空を飛んだ。
 


おそらく、高度、飛行時間が群を抜いていた。
 

気持ちもだいぶ大きくなっていたんじゃないかと思う。

 


僕は自分の暮らす町からいろんな町へと飛んでいった。
 


町を俯瞰していると自分が鳥になった気がした。

 


ただ、町が途切れて海へとたどり着いたき、僕はとてつもなく怖くなった。
 


見果てぬ海を飛ぶことなんて到底出来ないと感じた。
 


海を越える前にきっと落下してしまう、そんな気持ちになった。
 


うまく飛べていたのが、

全部、気のせいのようにすら思えた。
 


だから、

僕はその海を前にしてすぐに引き返し、

落下してもそれほど大怪我をしない高さを軽やかに飛行することにした。


(しかしそれでも地面から4、5メートルぐらいの高さはあっただろうか。)

 


気づくと、僕は自分の暮らす町から少し離れた丘の上を飛んでいた。
 


丘の通りには外国人墓地があり、なぜか、あたりには眩しい西日がさしていた。

僕はそのあたりが好きだったので気持ちが晴れ晴れとした。

 


しばらく飛んでいると、女友達を見かけた。
 


以前、夢に鳥としてやってきた子だった。
 


彼女は海外で暮らしていたはずなのに、

どうしてここにいるのだろう、

そんなことを思いながら僕は降下した。
 


相手も僕に気づいた。


が、僕が飛んでいることに驚く様子は見せなかった。 


「何をしているの?」
 


たぶん僕はそんな風に尋ねたんじゃないかと思う。


というのも、

夢で僕は喋っている実感がなく、

念だけで対話しあっているように感じるからだ。
 


だから、

彼女の返事は言葉として返ってくるよりも、

肌にしみこんでくる感じであった。
 


やがてそれは僕の心で言葉となった。 


「結婚して、この近くで暮らしているの。」
 


そして、彼女は僕のそばを通り過ぎて行った。
 


その夢で、空を飛ぶことはもう出来なかった。  



作 青剣

絵 ヤマネコトリコ


からだ部

からだ部とは、「からだを感じる」をコンセプトに、部員たちがモノをつくり発信する部活道である。 主な活動は、 1)メディア 2)ワークショップ 3)企画 の三つになります。

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