僕を消しゴムで消そう 【デパーゼvol.15】


僕について語ろう。
 


三十四年間、僕と付き合ってきた。

三十四年といえば結構な年月である。
 

砂時計よりは長く老衰して死ぬよりは短いが、自分について考える上では十分な時間だった。
 


その間、それなりに僕について考えた。
 

結果、自分についてどう語っていいのか、一度まるっきり分からなくなった。
 

おかしなものだと思う人もいるかもしれない。
 


三十四年も生きたらそれなりに語ることがあり、そして自分を定義出来るものだ、と。
 


しかし、僕は全く反対だった。
 

三十四年もの間に僕は僕について語るべきことを語りつくしてしまった。
 

もっと正確にいうと、三十歳の時にすでにそんな気持ちになってしまった。

そして、何も自分については語れなくなった。

それからおよそ三年間、僕は自分について語らなくなった。

その頃出会った方々に自分のことを問われても戸惑うばかりだった。
 


そしてもう一つ大きな理由があった。

それはこれまで一度も定職に就いたことがなく、

その日暮らしの生活を送る中で社会の鋳型からするりと逃れてきた。


そんなわけで社会が求める形で自分を定義出来ない。
 

そんな僕が、僕について語るたび、

そのための言葉を持ち合わせていないことに疲れてきた。
 


出来合いのもので自分を規定するたびに、


いつだって、


そこからこぼれ落ちてゆく僕がいるような気がした。


そんな僕を消しゴムで消そうとしたこともあるが出来なかった。


見た目に消せても、

ぐっと刻みこまれた跡だけは消すことが出来ない。

深く刻みこまれた分だけの僕がいた。
 


そこで僕は。
 


こぼれおちていった僕だけを語ることにした。
 


そういった欠片が最も伝わるような気がしたからだ。


 ♈

 



体育の時間、バスケットのリバウンドを争うのが苦手だった。
 

やがて、バスケットの時間はコートの外で座って見学することにした。
 





僕はそんな感じのまま大人になったというわけだ。  



作 青剣

絵 ヤマネコトリコ


からだ部

からだ部とは、「からだを感じる」をコンセプトに、部員たちがモノをつくり発信する部活道である。 主な活動は、 1)メディア 2)ワークショップ 3)企画 の三つになります。

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