鬼退治よりもシャケェ〜されたい今日このごろ (作 鈴音彩子)


あや~んです。

現実逃避と共に筆が進んでおります。



むかしむかし おじいさんとおばあさんが住んでいました。

と言えば?

山へ芝刈りと川へ洗濯に行くと思ったアナタ。ほぼ当たりです。


二人仲良く暮らしておりましたとさ。



でね。

三年くらい前でしょうか。

春になると川が「シャケェー」でいっぱいになるようになりました。

皆さんの想像する魚の鮭ではありませんよ。シャケェーです。

彼らは川上からやってきます。

川一面、黒い塊が行進するかのようになり、それはそれは恐ろしい音が鳴り響くのです。

いつもは三日位で川は元通りになるのですが、今年のシャケェーはひきません。


やがて一週間が経ちました。


おばあさんは意を決して、川へ洗濯に行きました。

「ちょいと洗濯させてくださいな」

川へ断りを入れて手ぬぐいを水へさらすと、

手ぬぐいはすごい勢いでシャケェーにさらわれてしまいました。


「いつまで続くのかねぇ」




(絵 せいけん)



丸い背中をさらに丸くして帰ろうとしたその時、シャケェー達がピタッと止まりました。


おばあさんは語りかけました。

「いつもの綺麗な川をかえしてくださいな」


シャケェーたちはしばらく轟いた後、こう言いました。

「いつもの綺麗な川でありつづけられるようにしてくださいな」


ゆっくりとさらわれた手ぬぐいが川岸へ戻ってきました。

おばあさんが取りに行くと、シャケェーたちがいっせいにおばあさんを見ていました。


とても戸惑った瞳で、お互い見合いました。


                もの かたり部 鈴音彩子「昔々、見合う」

からだ部

からだ部とは、「からだを感じる」をコンセプトに、部員たちがモノをつくり発信する部活道である。 主な活動は、 1)メディア 2)ワークショップ 3)企画 の三つになります。

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